都内でリニューアルしたオシャレ系銭湯に行く機会が最近あったので、そこで感じた日本人男子の体型についての話をしたい。
前置きとなるが今回の話は統計的に調査したものではなく、最近自分が銭湯に行って同年代の若者(10代後半〜20代後半)を見るたびに抱いた感覚的なものなのでこの点はご了承いただきたい。
さて、日本人の平均身長と平均体重はどれぐらいか知っているだろうか。世代ごとに異なるものの、20代男子なら身長171.4センチ、体重は68.1キロ。
あなたはこの数字に違和感を感じないだろうか。身長についてはまだ分かる。自分の友人を思い浮かべてもだいたいこの身長プラスマイナス5センチぐらいに収まる人がほとんどだ。
でも体重が68.1キロというのは重すぎる。もちろん平均体重が68キロなのであって、中央値や最頻値によるデータではないので一部の肥満が数値を押し上げているのだとしても身長171センチの人が68キロというのはかなりレアなケース。
実際自分の友人たちで170センチ前後の人はだいたい体重55プラスマイナス5キロくらいだろう。ここで問題となるのは、日本人20代男子平均が体重68キロという数値を鵜呑みにしてしまうと、今現実に起こっている、そして自分はその事態がかなり深刻な結果をもたらすのではないかと危惧している、問題が見えてこない。
個人として危惧しているというのは、日本人若者の痩せすぎ問題だ。これは数年前まで体重が46キロしかなかった実の当事者の自分が一番よく分かる。
今回は10代後半〜20代の日本人男子になぜガリガリが多いのか、統計データと実感値の剥離、そして痩せ型の増加から起こりうる将来的リスクとその解決策を自分なりの視点で共有していく。
目次
オシャレ銭湯にいる若者の8割強はガリガリ
自分はお風呂好きなので普段から地元の銭湯だったり、ちょっと離れたところにある大型の日帰り温泉に行ったりするのだけど、こういったところに若者は少ない。
メインの客層はおじさんかおじいさん。週末になると家族連れが入ってくるくらいで自分と同世代の若者の数は少ない。
普段通っている温浴施設ではこんな風に若者をあまり見かけなかったので、最近何回か訪れた都内のリノベ銭湯では驚いた。
若年層にも人気なリノベ銭湯での出来事
最近、都内では老朽化が進んだ古き良き銭湯をリニューアルして今風のおしゃれ銭湯にするトレンドがある。福の湯、萩の湯あたりはその筆頭格。
リノベ済みでも都内の銭湯価格は一律の460円ということもあって、最近はこうしたリノベ銭湯に足を運ぶことが多いのだけど、そこで目にする同世代の若者の体型に注目した。
みんなめちゃくちゃガリガリじゃないか。まるで昔の自分を見ているようだ。
本人たちはあまり自覚していないかもしれない。でも痩せ型から自力で20キロ増量した自分から見ると、若者のほとんどはガリガリ。冒頭にあげたような平均体重68キロなんて絶対にありえない。
痩せ型であることがどれだけ高リスクか経験として知っている自分からしたら、不健康なガリガリでいることは何もメリットもないと分かっているのだが、一般にはまだまだ痩せ型のリスクは共有されていないようだ。

では、なぜこんなに若者男子は細身の体型が多いのだろう。自分の経験からしてもおそらく原因であろういくつかの要因は推測できるのでそれらを順に紹介する。
若い男子が痩せているのは栄養知識不足と食事よりも面白いものが増えたから
個人的に若者のガリガリ率が増えているのは大きく2つの理由があると思っている。
1つは栄養や食事に対する基礎知識の欠落。2つ目は娯楽の充実による食事行為の相対的価値下落だ。
1日に必要なカロリーすら答えられない教育は正しいのか
小学校、中学校の授業で誰もが必修していた家庭科の授業。料理を作るだけでなく、我々は栄養やカロリーの基礎知識も学んでいたはずだ。でも、その記憶は今どれほど残っているだろう。
大学生の頃の自分を思い返すと、三大栄養素がたんぱく質、脂質、炭水化物ということはかろうじて知っていても、それぞれがグラム何キロカロリーで、自分自身がどれぐらいのカロリーを取ればいいかなんて知る由もなかった。
でも自身の基礎代謝量や推定エネルギー量を知ることなしには健康的な体重のコントロールすらできない。
巷で「この野菜を食べれば痩せられる!この食べ物は食べてはいけない!」というような怪しいダイエット法が広まっている一つの要因も、カロリー収支を知らないことにあるといってもよい。
若者含め、残念ながらほとんどの人は自分自身に必要な1日あたりのカロリーすら知らない。そんな栄養リテラシーが低い環境で育った若者が不健康な痩せ型なのは当然の結果と言えるだろう。
_食事よりも楽しいものが増えすぎた社会
もう一つ、若年層に痩せ型が多いのは食事の相対的な価値が下落したことにある。そもそも食事には栄養摂取という根源的な役割に加えて、娯楽という側面があるはずだ。
それがここ10数年の間に起こった、インターネットを中心とした娯楽の圧倒的拡大によって食事よりも優先順位の高いものが多く生まれた。ある人にとっては食事よりもスマホゲームの方が大切だし、友人・恋人とのチャットの方が楽しいかもしれない。
こうして個人の可処分時間が限られてくると、相対的に食事が占める割合も縮小する。するとウイダーinゼリーやカロリーメイトのような、とりあえず栄養補給さえできればいい、といったようなニーズにあった商品が人気となり、本来必要な栄養が十分に取れずに最低限の栄養しか取れていない痩せ型が増えるといった仕組みだ。
栄養不足による痩せ型は将来の健康リスクを増大させる
若いうちはこれでもいいかもしれない。多少栄養不足でも発達途上の体はそれを補うエネルギーを持っている。でも、10年後、20年後、基礎代謝が落ち、筋力も衰え出した時、これまで気づかなかったリスクが表出するのはほぼ必至だろう。
事実、痩せ型の方が普通体型、あるいは肥満予備軍よりも脂肪リスクが高いことは日本・スイス両国で行われた調査からも明らかになっている。
筋力が落ちると代謝が落ちる。代謝が落ちると脂肪がつきやすい体になる。「若い頃は痩せていたのに今じゃすっかりビール腹だよ」と嘆いているのはまさにこのパターンだ。
筋力をつける過程で栄養学の基礎を学びなおすしか改善方法はない
では、どうやってこうした事態を回避するか。今のままだと食事の優先順位はどんどん下落していき、
- 健康的な一部の若者
- 平均体重を底上げする肥満体型の若者
- 栄養不足の若者多数
といった具合で栄養リテラシーの有無により大きく若者層が分断されるはずだ。これを回避するには栄養学の基礎をもう一度勉強しなおす必要がある。
でもいきなり勉強しろと言われても自発的に学ぶ人はごくわずか。これを解消するにはどうするか。シンプルな話で筋トレを始めればいいのだ。
筋トレをする過程で栄養の知識は必須となる
ジムでも自宅でもいい。筋トレを始めると栄養学の知識が大なり小なり必要となるので自発的に栄養の基礎を調べ、学ぶようになる。
筋肉はただトレーニングをやれば大きくなるわけではなく、栄養摂取が最も大事な部分を占めているからだ。ジムに行けば否が応でも栄養の基礎が自分に足りていないことに気づくだろう。
そこまで行けば痩せていることのリスクも理解でき、筋トレ人口が増えれば連鎖的に全体のリテラシー向上につながるはずだ。
まとめ:筋トレブームを文化に変える時期が近づいている
最近は筋トレブームが起きつつある。テレビではまだまだダイエット特集ばかりだが、それとは反対に不健康な痩せ型体型を健康体型に近づける需要も決して小さくはない。
せっかく24時間ジムやパーソナルジムが流行りつつあるのだから、筋トレを一過性のブームとして消費するのではなく、健康リテラシーを高める装置として社会に根付くように、ジム店舗数の拡大、ジム価格の低コスト化など一般人に門戸を開く流れを期待したいところだ。
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