「痩せ型の人は頭がいい」が嘘と言える理由:脳は勉強時間に比例して消費エネルギーが大きくなりません。

「痩せている人は太っている人よりも頭がいい」、「脳は使えば使うほど糖分を消費するのでよく頭を使っている教授や医者に太っている人は少ない」

そんな話を耳にしたことがある人もいるかもしれない。でも、その話に確固たる根拠はあるのだろうか。どこの論文で検証された事実なのだろうか。

はっきり言おう。痩せ型だから賢いなんてことはない。それは又聞きした不確かな情報由来か、痩せ型が自尊心を保つために信じ込んでいる迷信にすぎない。

今回は「痩せ型=頭がいい」とされる理由になっている2つの嘘について、なぜその説が事実ではないのか明らかにしていきたい。

痩せ型は自己管理ができているから痩せているの嘘

Yahoo!知恵袋などの質問サイトで「痩せ型の人はなぜ頭がいいのでしょうか?」という質問に対する答えでこんなものがあった。

「それは、頭のいい人は自己管理ができているので太りやすいような食事をせずに自分を節制できているからですよ。」

そんなわけない。そもそもその発言の根拠はどこなのだろう。

頭がいいのと自己管理ができているのは別問題

そもそも、頭がいい人と自己管理ができる人は別だ。「頭がいい」を有名大学に受かるような学力的優秀さだと設定しても、「頭がいい」をビジネスや起業で成功するような頭のキレのよさだとしても、この主張は当てはまらない。

  • 学力が高い=自己管理ができるではない
  • 頭が冴える=自己管理ができるではない

東大生に、あるいは起業家にどれだけ中肉中背やデブがいると思っているのだ。むしろ勉強ができても自己管理ができていない人は大勢いる。自分の食生活を管理できているのと頭の良さというのを関連づける根拠はどこにもない。

「頭がいいから自己管理もできるので太るような食生活を送らない」というのは全く実態に基づいていないネット上の空論に過ぎないのだ。

脳を使えば使うほどカロリーが消費されるの嘘

もう一つ、事実と誤解が絡まって広まってしまっている間違った情報に、頭を使うとエネルギーが消費されるので、よく頭を使っている人ほど痩せている説がある。

これは事実と誤解が混ざり合っているからタチが悪い。間違っている理由を一つずつ紐解いて説明していこう。

脳の消費エネルギーが大きいのは事実

まず、脳の消費エネルギーについて。人間の体は何も運動をしなくても身体を維持するために体が勝手にエネルギーを消費するようになっている。それが基礎代謝と呼ばれるものだ。

この基礎代謝のうち、脳は20%ほどのエネルギー消費を担っている。1日1700kcal消費する人の場合は、340kcalほど脳だけで消費するのだ。

この340kcalというのは体の他の部位に比べて大きい。下の表を見てほしい。

臓器・組織 臓器の重量 エネルギー代謝量 比率 (%)
全身 70kg 1700kcal 100%
骨格筋(筋肉) 28kg 370kcal 22%
肝臓 1.8kg 360kcal 21%
1.4kg 340kcal 20%
その他 23.2kg 277kcal 16%
心臓 0.3kg 145kcal 9%
腎臓 0.3kg 137kcal 8%
脂肪組織 15kg 70kcal 4%

参考:表2: ヒトの臓器・組織における安静時代謝量 – 加齢とエネルギー代謝 | e-ヘルスネット 情報提供(https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/exercise/s-02-004.html

脳は体のわずか数パーセントほどの重さしかない部位なのにもかかわらず、体全体の20パーセントものエネルギーを利用しているのだ。

同じ20パーセント前後というと、筋肉とほぼ同じ。脳は全身の筋肉と同じぐらいエネルギーを消費しているのだ。すると、脳の消費エネルギーが大きいのは事実と言える。

脳をどれだけ使っても消費エネルギーは増えない

事実誤認があるのはこの点だ。間違った説では、脳は使えば使うほどエネルギーを消費するものだと誤解されている。しかし、脳が消費するエネルギーは上で説明した20%固定なのだ。

1時間勉強したから100kcal、5時間勉強すれば500kcalといったように脳を使った時間に応じて増えていくようなものではない。

この点で多くの人が誤解をしているのだ。

「チョコを食べちゃったけど、今日はたくさん勉強したからセーフ!」

ではないのだ。

有酸素運動との誤解がある

なぜ頭を使った時間とともに脳の消費カロリーも増えるといった間違った解釈が広まっているかというと、おそらくそれはランニングやジョギングのような有酸素運動との誤解が根底にある

有酸素運動は運動の強度と時間に応じて消費カロリーが増える。

1時間ジョギングをすれば300kcal、2時間ジョギングをすれば600kcalといった具合に、その運動を続ければ続けるだけカロリーが消費されていくのだ。

ここに誤解があるように見える。つまり、脳と有酸素運動のエネルギー消費を同じものとして混同してしまっているのだ。

この違いがわかれば、どれだけ勉強をしたからって痩せるなんてことはないことが分かる。

では、なぜ私の身の回りの頭のいい人は痩せているのか?

事実として、勉強をどれだけしてもエネルギー消費量は増えないと分かったとしても、実際に自分の周りの賢い人は痩せている人が多い。

そういった感想を持つ人もいるだろう。この意見に対しては一つの明確な回答が出せる。

なぜ彼ら・彼女らが痩せているか。それは、食事を忘れるほど他のことに没頭しているからだ。

痩せている=カロリー収支がマイナスの人

人はどんな時に痩せるかというと、1日の摂取カロリーが1日の消費カロリーよりも少ない時に痩せる。例えば上で紹介した基礎代謝で1日1800kcalのエネルギーが必要な人が、1日で1500kcalしか食べなければその分だけ体は痩せる。

これを「エネルギー収支がマイナスの人」と言うことにしよう。エネルギー収支がマイナスの人は食事を十分に食べていない。そして食事を十分に食べていない人がどんな人かというと、何か他にすることがあって本来食べなくてはいけない食事を抜いている人だ。

食事を忘れるほど他のことに没頭・勉強している人は痩せている

食事に無関心であったり、食事よりも自分の好きなことに重きを置いている人は痩せていることが多い。自分もそうだった。

食事は栄養だけとれればいいので、さっさと終わらせて自分の好きなことに時間を割きたいとずっと思っていた。こんな人はガリガリの確率が高い。

それもそのはず。栄養が摂れていないから痩せているのだ。

食事に向かう力や気持ちを他の対象に向ければその分そちらは伸びる。痩せ型で賢い人にはそういう人が多い。

まとめ:痩せ型だからといって賢い人が多いわけではない

以上、痩せ型=賢い人が多いの嘘について解説してきた。重要なポイントをまとめると、

  1. 食事管理・自己管理ができているから痩せているは間違い。賢い人でも食生活が崩壊している人はいる。
  2. 脳は使えば使うほどエネルギーを消費するは嘘。走れば走るほどエネルギーが消費される有酸素運動との混同が原因。
  3. 頭が良く痩せている人は、栄養が取れていない。栄養が取れていない理由は他のことに集中しているから。

つまり、痩せ型と頭の良さは相関しない。ただ食事に興味のない痩せ型もいれば、勉強に集中して食事を疎かにしている頭のいい痩せ型もいるというだけだ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です