たくさん食べても太らないという人は水分量が高い食材を食べているからかもしれない。
野菜、果物、スープ、ジュース、ゼリーなどを食べる頻度はどれくらいあるだろうか。
もしくは流し込み・流し飲み。ご飯を食べる時にそのまま飲み込むのが辛いからと汁物や水で流し込んでしまっていることはないだろうか。
これらは過去の私自身に当てはまっていた、太れない理由だった。
もちろん水分摂取は必要だが、食事内容があまりに液体ばかりだと水分だけで胃腸の容量が圧迫され、本来必要な栄養を摂取できずにお腹がいっぱいになってしまう。
さらに言えば、野菜やフルーツなど、一見すると個体に見えても実はその90%近くが水分で構成されている食べ物は多くある。こうしたほとんど栄養の含まれていない食べ物を口にして「栄養をとった気」でいるのが一番危険なのだ。
今回はやせ型や少食体質の人に多い、流し込みや水分量の多い食事で食べた気になってしまうことのマイナス点とその解決策を話していく。
目次
野菜を3kg食べてもあなたの体重は増えない
@hardgainer_GT
夕食後に乗った体重計で1kg体重が増えていても、翌朝には元の数字に戻っている経験をして落ち込んだことのある人、自分は太れないんだと思った人は結構多いはず。でも寝起きで体重が減っているのは当然。水分の多い食事を取っているならなおさら。朝の体重が減るのは当たり前なので、一喜一憂せずに栄養のある食事を取り続ければ体重は増える。
例えばあなたが「今日は思いっきり食べて体重を増やすぞ!」と意気込んで3キロ分の食事を取ったとする。
その食事がお米やパン中心なら、あなたの体重は増える。お米やパンには炭水化物やたんぱく質など、多くの栄養素が含まれているからだ。
では、あなたが3kg食べたものが野菜、果物、豆腐などが中心だったらどうだろう。一時的に体重は増えるかもしれないが、数日以内には普段の体重に戻ってしまう。
野菜の90%は水分、三大栄養素はほとんど摂取できない
それはなぜか、野菜や果物、豆腐は重さの90%近くが水分だからだ。
水分をどれだけ摂取したところで体重は増えない。過剰に摂取された分は尿となって排出されるだけだ。
それどころではない。胃腸の容量は限られているので、水分でお腹が膨れてしまい本来必要とする栄養を摂取する前に満腹感を感じてしまうことだってある。
こういった風に考えるとあなたがたくさん食べている気がしても実際に栄養を取れていないのが分かる。
お腹がいっぱいになる=体重が増えるではないのだ。水分量が多い食事ばかりをしていては、十分な栄養が取れないまま水分でお腹が膨れてしまう。
水分の摂りすぎによる胃酸の希薄化(薄まること)にも注意が必要。
口と食道を通って胃の中で本来なら消化されるはずの食べ物も、水分が多すぎて胃酸が薄まってしまうと十分に消化されないまま、小腸→大腸へ通過してしまう可能性がある。
消化されなかった栄養が大腸まで到達すると、大腸の浸透圧が高まって腹痛や下痢の原因にもなりかねないので、水分の摂りすぎには注意。
体重を増やす時に大事なのはたくさん量を食べることではなく、栄養を取ること。
なかなか太れないやせ型の人にはここで水分量を知ってほしい。
水分量の調べ方:自分で計算するのが簡単
@hardgainer_GT
フルーツや野菜の水分量はおよそ80〜95%ほど。体の動力源となるたんぱく質、脂質、炭水化物はほとんど含まれていないため、野菜だけダイエットや果物ダイエットは自己流でやるとエネルギー不足に陥って危ない。
市販されている食品すべてに水分量が記載されていればいいのだが、ほとんどの食品には記載されていない。
というのもその義務がないからだ。スーパーで販売されている市販食品には、
- エネルギー(カロリー)
- たんぱく質、脂質、糖質などの三大栄養素
- 食塩相当量
の表示の義務があるため記載されているが、水分量については表示の義務がない。普通の消費者が水分量を気にする機会があまりないからだろう。
ただし、あなたが今体重を増やしたかったり、痩せ型体質に悩んでいるのであれば、水分量は重要。
水分量の計算式は超シンプル
その計算式はこうだ。文字だけだと難しく思えるかもしれないが、数字と一緒に考えれば簡単。
- 食べ物の重さ – 三大栄養素(たんぱく質+脂質+糖質の合計)
例えば、コンビニで市販されているおにぎりを例にしてみてみよう。
一般的なおにぎり100gには下記の栄養が含まれている。
- たんぱく質:2.5g
- 脂質:0.3g
- 炭水化物:37g
これら三大栄養素のグラム数を全部足してみるとその数字は約40g。
おにぎり自体の重さが100gなので100g-40gでこのおにぎりの水分量は約60gということになる。
100gのおにぎりに含まれる「栄養」とされる部分は40グラムのみ、それ以外はほとんど水分だ。
なぜ三大栄養素を引くと水分量が計算できるのか
食品は水分、三大栄養素、ミクロ栄養素の3つから主に構成されている。
- 水分
- 三大栄養素
- ミクロ栄養素
その中で重さの大部分を占めるのは水分と三大栄養素。
ミクロ栄養素はミクロ(微小な)という名の通り、わずかな量しか含まれていないため、計算式に含む必要がないのだ。
試しに食品のパッケージを手にとって、その中に含まれる三大栄養素以外のグラム数をみてほしい。
ビタミンBやビタミンC、亜鉛などいろいろなビタミン・ミネラル類の表示こそあるものの、それらの表示単位は〇〇gではなく、〇〇mgか〇〇μgである。
野菜やフルーツはビタミン・ミネラルの宝庫とも言われるが、実際に数値を見てみるとそれほどでもない。1日に必要とされる栄養量を野菜から取るのは至難の技だ。
野菜や果物はあくまで食という娯楽の一つと考えて、足りない栄養は別途サプリメントなどから摂取した方が栄養不足には陥りにくい。
水分量が高い・低い食べ物は?

@hardgainer_GT
ナッツ類や魚の干物は水分量が少ない。反対にフルーツ、野菜などは水分が多い。世間で「健康的」や、「低カロリー」と言われる食品の大半は水分量が多い食べ物。
実際に、どんな食べ物に水分量が高く、どんな食べ物の水分量が低いか具体的な食べ物の名前をあげながら見てみよう。
- 水分が多いもの=マクロ栄養素が少ない、摂取しやすい
- 水分が少ないもの=マクロ栄養素が多い、摂取しにくい
水分量の高い食品の一覧
フルーツ、野菜、飲み物全般、ジュース、スムージー、スープ、いくら、アイス、ウイダー、ゼリーなど
サッパリしたもの、みずみずしいもの、そして飲み物には水分が多く含まれている。水分が多いものはそれだけ飲み込みやすい。
例えばレタスやキャベツなどの野菜の水分量は90%超、オレンジや桃などのフルーツも90%近い水分量だ。
水分量が多いということはその分、エネルギーとなる三大栄養素が少ないということ。
例えば極端な例として、100g中6gほどしか三大栄養素が含まれていない「茹でキャベツだけ」を食べて1日に必要なカロリーを摂取しようとするならば、8,000g〜10,000g=8kgから10kgほどのキャベツを食べなくてはならない。
これでは動物園にいる大型草食動物である。
動物園にいるゾウやキリンなどの大型草食動物がなぜ1日にあれだけ多くの野菜を長い時間かけて食べている理由がまさにここにある。
彼らはエネルギーを摂取しにくい野菜をメインとして食事をするため、その食事量を多く取らなくてはいけない。
仮に草食動物が水分率の低い食べ物を食べてもいいのであれば、毎日バケツ数十杯分の野菜を食べる必要はなく、せいぜいバケツ1、2杯分の栄養を取るだけで十分なのだ。
人間は草食動物ではなく雑食動物
でも人間は違う。
人間はゾウやキリンと違って、肉も魚も野菜も穀物もなんでも消化できる雑食動物だ。雑食動物だから食べ物を選ぶ自由がある。
だからこそエネルギーを取りやすいお米やパンを主食とした食事をしているのだ。
これは世界のどこに行ってもそう。ヨーロッパでもアフリカでもインドでも南極でも人間の主食は自然とエネルギー効率の高い食べ物になるのだ。
日本人にとっての米、欧米人にとっての小麦など、主食には炭水化物が多く含まれる。
しかし炭水化物だけが人間の栄養源ではないことも事実。例えば伝統的な狩猟生活を現代でも続けるエスキモーは生肉を主食とするので炭水化物ではなく、たんぱく質と脂質が主要な栄養源となっている。
低炭水化物ダイエットや低糖質生活をする人の多くもそうだ。彼ら・彼女らもまたたんぱく質と脂質からほとんどの栄養を取っている。
水分量の低い食品の一覧
ドライフルーツ、干物、クッキー、せんべい、ポテトチップス、カロリーメイト
上に並んでいる食べ物の名前を見たら、だいたいどんなものに水分が少ないか分かると思う。
ずばり、乾燥していたり水分を飛ばしている食べ物だ。
カロリーメイトがパサパサなのは余分な水分が入っていないから。水分が入っていたらもっと食べやすいが、サイズが大きくなってしまうし携行性が失われてしまう。
そう。水分量の低い食べ物は食べにくいのだ。どれもそのまま飲み込むのは難しいと思う。必ず口の中で咀嚼して唾液(水分)と一緒に胃まで運ばなくてはならない。
なので、「エネルギー率を考えて水分量の低い食べ物を集中的に食べればいいんだ」というのは正解でもあり不正解でもある。
水分量の引く食べ物は往々にして食べづらく、口の中で咀嚼しないと飲み込めないものが多いので、かえって面倒なことも多いのだ。
結局、水分量が中位のものが一番摂取しやすい

@hardgainer_GT
固形物を食べるのがあまり好きじゃない自分のライフハックはミキサーを使うこと。ナッツ類とプロテインを混ぜた特製シェイクは栄養バランス最強なのでおすすめ。
お米や麺類が食べやすいのはちょうど良い水分とマクロ栄養素とのバランスが保たれているからだ。
白飯は水分6割、栄養4割。食パンは水分4割、栄養6割。
少食だからといって水分が極端に多い食べ物だけを食べるのは上述した通りデメリットも多い。するとやはり、メインの食事はご飯のような水分と栄養バランスがちょうどいいものを食べる必要がある。
普段、水分を取りすぎている自覚がある人は、水で飲み込むよりも咀嚼回数を増やして唾液を出したり、それでも難しい人はオクラや納豆など、粘り気のある食べ物と一緒にのみ込みやすくご飯を工夫するのも一つの手である。
粘り気のある食べ物はそれ自体の栄養も高いものが多いので、ぜひとも活用してもらいたい。
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